04.03.12:50
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02.14.20:24
今年もこのチョコに出番はありません。
「さっすが!今日のロールケーキもおいしいね!!」
学校帰り、友人は私がさっきあげたロールケーキにかぶりついた。
小学校からの付き合いの私たちは家も近く、高校に入っても小学校のころと変わらず一緒に登下校している。
あの子の隣は私の居場所で私の隣もあの子の居場所。
そんな関係が普通に成り立っていた。
「まったく、いきなりメールしてきてチョコのロールケーキが食べたいなんて、私も面倒な友達をもったね」
口元にクリームついてる、と私は指で自分の口元をつついて間抜けな顔をしたあの子に教えてやる。
まあいつものことだけどね、心の中でそう思い、その言葉は心の中でふわりと消えた。
「だって、無性に食べたくなったんだもん!!」
と、あの子は私が苦労して作ったお手製のチョコロールケーキをたった二口で平らげる。
そして、もう一個!、と手を差し出してきた。
私もため息をつきながら、もうひとつをあの子に差し出した。
もっと感謝して食べなさいよ、と心の中では思いながら、おいしそうにほおばるあの子を見てため息をついた。
まだ2月の中旬。吐いたため息は白く染まり、日が沈み、薄暗くなった冬の空にふっと消えた。
私たちは必要以上にしゃべらない。きっとあの子も気づいているだろうし、気づかなかったとしてもなにも変わらない。
すべてを話さないと伝わらないほど関係は浅くないし、あの子なりに忙しいと思われる時間は避けてのメールだったのだろう。
それに、ただ食べたいだけならコンビニでもいいのに、わざわざ私に頼むのが、コンビニのよりもおいしい、といわれているようでうれしさも感じた。
「ねえね、ほかになんか持ってないの?」
不意に片手にロールケーキを持って、口をもごもご動かしながらあの子はきいた。
「なんか、ってなに?」
「なにって、今日はバレンタインだよ?誰かに渡さなかったの?」
興味と面白さで顔をにやけさせながらあの子はロールケーキをほうばった。
「友チョコならもう売り切れだよ、それにあんたにはもう渡したじゃない。そのロールケーキとはべつに!」
きっとあの子がほしい答えは違うだろうけど、わざとその答えには触れてやらない。
私は的外れな答えに少しだけいやみも足して返してやった。
「そうじゃないよ。本命とかさー。うちの学校のイケメンは甘い物好きおおいし!バレンタインとか盛り上がるじゃん」
隣のクラスのサッカー部のことかさ、あとバスケ部のこも好きだよねー。
と聞いてもいないことをしゃべり出す。
この子の甘い物好き同盟はいったいどこまで広がっているのだろうか、そう思いながらふと、かばんの中のひとつだけ残ったチョコレートに目をやる。
ひとつだけ何か特別なラッピングをしたわけでもない。
友チョコとしてなら何人かの男子にも同じものをあげた。
でもたった一つだけ残ったチョコレート。
「で?あげないの、誰か」
考え事をしていた私の顔を覗き込むようにしてあの子が聞いてきた。
にっこりと笑った笑顔は昔と変わらない。
「だから、もうないんだってば。あんたこそ誰かにあげないの?」
ちょっとだけうそをついた。彼女は少しだけ驚いたようだったが、すぐに笑みを深めた。
かばんの中に残っているチョコレートには心の中で謝った。
「んー。特にいないかなー。それにあたし料理へただし」
かなわないもん。と私に笑いかけた。
「そっか」
なぜか私は安心感に似た何かを感じた。
まだ少しだけこの子の隣にいられる。
そう思ったら自然にほほが緩んだ。
でもそれと同時に、いつかは来てしまうだろう別れの日を覚えて悲しみとも寂しさとも取れるなにかもやもやした黒い煙のようなものに取り付かれた気がした。
「でももったいないなー」
彼女の声にはっとし、もやもやした煙は私から離れていった。
何が、そう音を発する前にあの子はいった。
「このロールケーキだってあたししか味わえないじゃん。あ、あたしが彼氏作って彼氏にも食べさせれば、このおいしさを共有できるか!」
開いた口がふさがらないとはこういうことなのだろうか。
呆れてものが言えないというほど呆れているわけではない、むしろ、私の思考をすべて読んでいたかのような発言でおどろいていた。
でもしばらくするとなぜかお腹のそこからふつふつと笑いが来て、私は声を抑えて笑っていた。
笑いをこらえていると、自然にかばんの中のチョコレートに目がいった。
チョコレートは本来いくべきところにいけなくて残念そうだったが、今年もおとなしく私のお腹に収まってもらうことにした。
家に着く前にあの子に見つかったら、あの子のお腹にいくことになるけどね、とチョコレートに謝罪を含めて話しかけた。
「なになに?」
なにかおかしいこといった?と言わんばかりの表情で、あの子はかばんを見つめる私に聞いてきた。
あの発言からして、どうやらこの子は私から離れるきがないらしい。
それでも私と、あの子の彼氏と、あの子が私の家の台所にいるカオス空間を想像すると、さっきとは共通点などかけらもないもやもやを感じた。
いつかは来てしまう別れを惜しんだことが、なんだかばかばかしく感じて、そんなことを考えていたことを悟られたくなくて、私は
「あんたに彼氏ができたら、彼氏にあんたのお世話は頼みます。せいぜい料理の得意な彼氏作れ!」
と冗談半分、本音半分に、あの子に言い放ってやった。
あーあ、そんな声がチョコレートからしたのは気のせいだろうか。
02.02.21:46
Le dernier chocolat
この作品はラブストーリーですがどちらかが亡くなってしまい結ばれません。
それでも大丈夫!と言うかたはどうぞ。
僕の大切な彼女が旅立った。
高校のときから付き合っていた僕らは、二十歳を過ぎた今でも付き合っていた。
そんな彼女が倒れたのは1年ほど前のこと、ある日唐突に、神様は僕らの別れのカウントダウンを始めた。
そして、それは同時に彼女の命のカウントダウンでもあった。
彼女を知っている誰もが何度も何度も夢であってほしいと思った。
せめてまだ終わりの見えないカウントダウンであってほしかった。
でもその願いは、まるで羽の折れた天使のように天に届くことはなく、むなしくも地面にたたきつけられた。
僕も最初のうちは毎日のように病室に通い、かれた笑顔で彼女に接し続けた。
彼女もまた僕の前では笑って見せた。
でも、彼女がうそをつくのは下手なことは僕が一番知っている。
僕もうそをつくのが下手なことも彼女が一番知っている。
だから僕らは下手なうそをつき続け、気づかないふりをつづけた。
それが正解なのか、間違いなのかは僕らにはわからなかったが、ただ、確実に近づく終わりまでの短い間、少しでも笑顔でいたかった、少しでも悲しい思いをさせたくなかった。
それは一種の逃げであったのかもしれないが、僕たちは互いに神様が告げるカウントダウンを、聞こえないふりしてやり過ごしていた。
僕も病院で彼女にあっているとき以外は極力彼女のことを考えないようにした。
必死に仕事に打ち込み、どうしても彼女に会えない日は残業をしてなるべく一人で何もしない時間を作らないようにした。
それは上司の目には「仕事熱心な人」とうつり僕の仕事の量は増え続け、大切な仕事を引き受けさせてくれるまでになった。
仕事を彼女からの逃げ、としていた僕にとってもいいことで、頼まれた仕事は全部引き受け、気づけば彼女に合う回数は減っていた。
そして、彼女の容態が急変したのは今から二週間前のことだった。
仕事中に連絡が入り、僕は急いで彼女の入院している病院へ行った。
まるで今までの僕を責めるかのように、そこには衰弱しきった彼女がいた。
こんな彼女を僕は知らない。
清潔に保たれた病室の真っ白なシーツの上で、彼女は以前の明るい色をなくしていた。
いつもなら、病室のドアが開く音がすると必ず僕を見てくれた彼女。
入ってきた僕にとてもうれしそうに笑ってくれた彼女。
僕の仕事の話を楽しそうに、真剣に聞いていてくれた彼女。
でも、そのときの僕の目の前にはそれのどれにも当てはまらない彼女が、ベッドに沈んでいた。
初めて彼女に近づく死神と対面した僕は、立っていることすらできず、床が沈んでいくのを感じた。
いきなり床に座り込んでしまった僕に、彼女の母親は申し訳なさそうに
もっと、早く連絡にするべきだったわね、と瞳いっぱいに涙を浮かべながらそういった。
謝るのは僕のほうなはずだ。
ぜんぜん会いに来られなくてごめんなさい。
逃げてばかりで、何もできなくてごめんなさい。
彼女を支えられなくてごめんなさい。
謝ることはたくさんあるのに、心は謝罪を繰り返すのに、僕の口は唇を噛み、決して音を発することはなかった。
僕にも、もう彼女との時間がないことはわかっていた。
それから僕は会社に電話をして大してない有給を全部使い、会社をクビになる覚悟で、彼女との別れの日まで出社しないことを上司に宣言した。
電話越しに上司の声が聞こえたが、一方的に電話を切り、携帯電話の電源も切った。
毎日、いや彼女の容態が急変したその日から、必要以上に彼女の病室から出ることをしなかった。
それから彼女が旅立つ日までの間、一度だけ彼女は目を覚まし、以前のような嘘の笑顔ではなく、そのときの彼女の精一杯の笑顔で僕を見た。
そしてその後静かに涙をながした。そして僕に泣きながら言った。
まだ、一緒にいたい。まだ別れたくない、と。
彼女はもうとっくに向き合う覚悟はできていて、逃げていたのは僕だけだったのだ。
その日僕は彼女の前で初めて本心を明かした。
死という事実に向き合えなかったこと、仕事を逃げ場にして会うことを避けていたこと、何もできずにいた自分を悔やんでいること、それでも、今でも彼女を愛していること。
それをすべて聞いた彼女は、それでも僕に好きだといってくれた。
そして最後の彼女は静まり返った病室で、僕に微笑んでこう言った。
「お返し、よろしくね。」
僕は何のことだかわからなかったが、僕は、最後だ、と本能的に悟って、強がってこぼれる涙を必死にこらえながら、
「じゃあ、駅前のいつものショップに行こうか。……一緒に」
と、叶いもしない願い事を口にした。
また、彼女を困らせてしまったな。そう思いつつも、まだ希望を捨て切れなかったのだ。
彼女は困ったように、でもうれしそうに、笑いながら眠りについた。
2月5日、僕らは別れを告げた。
それから、幸いにも僕は仕事をクビにならずに済んだのでお葬式を終えたら、以前のように出社し、彼女のことで気遣おうとする上司に自分勝手に休みを取ったことを謝った。
前のように必死に働く気にはなれなかったが、それなりに調子をとり戻しつつあった。
いつもどおり会社から帰宅し、部屋に飾ってある彼女の写真にただいま、とつぶやき、一人暮らしの男性にしてはきれいに片付けてある家で、テレビをつけて遅めの夕食を摂ろうとしていた時だった。
インターホンがなり外に出てみると、宅配便が来ていた。
小さめの荷物に中身を不思議に思いながら、とりあえず、判子をおし、荷物を引き取った。
送り主を見てみると、それは紛れもない彼女の名前だった。
しかし、そこに書かれた文字は彼女のものではない。
中身をあけてみると、それは付き合い始めたころから変わらない、2月14日に彼女が必ずくれる贈り物だった。
赤と白のストライプのリボンで左上に蝶々結びのラッピングが施された赤い箱。
それは17歳の冬、彼女からの最初のプレゼントだった。
ドラマのように長い手紙が同封されているわけでもない。
ビデオレターがあるわけでもない。
中身はただの赤い箱に入ったチョコレート。
たったそれだけでも僕には伝わるものがある。
僕はそっと彼女と名前をつぶやいた。
それと同時に流れる涙。僕はそれをとめることはできなかった。
泣きながらふと、彼女との約束を思い出す。
「お返し、よろしくね」
彼女の言葉の意味はこれだったのか。
どうやって彼女がこの贈り物をしたのかわからない。
彼女の両親だろうか、このチョコレートは通販では売っていないはずだし、彼女が誰かに頼んだのだろうか。
でも僕はどうしてこのチョコが僕の元に届いたのか、追及する気にはならなかった。
きっと彼女は自分がした最初のプレゼントがこれだったことを覚えていたのだろう。
そして自分の最後のプレゼントも、このチョコレートにしたかったのだろう。
彼女がずっと好きだった赤い箱のチョコレート。
ぽたりと、次第にとまりつつある涙が一粒、赤い箱に包まれたチョコレートに落ちた。
毎年甘かったチョコレート、今年は少し塩が入ったからかもしれない。
いつもよりもっと甘く感じた。
01.27.21:03
雪桜
ふわり、桜が見えたような気がした。
だがそれは本当に気がしただけであり、まだ暖かさを感じさせない1月下旬に桜が見えるはずがない。私は教室に背を向け、廊下の窓から揺れる木々を見ていた。
雪のつぎは桜か、葉をすべて落としきり寒々しく揺れる木々を見つめ、そう思った。以前にも、ハラハラ落ちる葉を桜と見間違えたことがある。11月上旬のことだ、寒さは確かに感じていたが、今思えばあの寒さで雪が降るわけがない。実際雪が降ったのはそれから2ヵ月もあとのことで、12月も終わりを告げようとしていた時期だった。
そういうところは桜に似ている、かぜに立ち向かいながら自転車をこぐ人を寒そうだな、なんてのんきに見ながらふと おもった。
桜も最初は「例年より早い開花です」ともてはやされても、ある程度咲いてしまうとこれもまた快くは思ってくれない。花見なんだと騒いだあとは、地面に落ちた桜には目もくれないのだ。あれだけ綺麗だ何だといったくせに、落ちた桜は平気な顔をして踏み潰す。挙句の果てには掃除が面倒だというのだ、私は落ちた桜こそ綺麗だと思うし、桜が舞い散る中、箒を持って桜をはく姿なんかはとても絵になると思うのだが、それも全て何の抵抗もなく人々の足の下へ押しつぶされる。まだ落ちて間もない桜は、木とともにいたときと同じように形を保ったままアスファルトの上に横たわる。木とともにいたときよりも、どこか大人びて見えるのだ。それはまるで親の元を離れて独り立ちしたように。
次この窓から見える桜もとても美しいものなのだろう。そしてこの木に積もる雪も、また美しいものなのだろう。まだつぼみすら感じさせない桜の木を目の前にそう思う。
この木に足を止めたのも綺麗に桜を咲かせているときだった。満開ではない、ピンクの桜にまぎれて緑の葉が顔を出してくるぐらいの、もう桜も終わりに近づいているときだった。
もうこの木で、この場所で、次の桜を見ることはない。きっと次の雪を見ることも。次の場所に移ることに寂しさを感じるが、でも進まないわけにはいかないし、許されることではないだろう。
がらがらと、学校の教室特有のドアの音を聞き振り返ると前の子の面談が終わったらしい。おつかれ、そうかけた声には苦笑いが帰ってきた。こうして言葉を交わすのも、もう限りが目に見えてしまっている。隣の教室に入っていく背を見て、教室に向き直った。次の桜は別れの合図、次の雪はきっと私たちの背を押すのだろう。次へと送り出すために。
とりあえず、どれだけの次が来ようとも、私は雪の全ても桜の全ても愛せる人間でいる。
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はい!初の小説ですね^^
何だろう、自分でもなにがかきたかったのかはわかりませんが
とりあえず半分事実、半分想像です><
昨日の面談を元に書きましたv
実際はいすに座って寝て待ってたんです。
夢オチで書いてもいいな、と思ってたのですが、今日廊下の窓から桜の木を見たので
桜を絡ませたかったんです。
あんまりできはよくないんですけど^^;;
勢いで書いたのでちびちび修正するかもです><;;
携帯の人はみにくいかもですorz